こんにちは。
偏愛パチンコライターの栄華です。
このサイトは、栃木県と東京都でパチンコホール「BBステーション」を経営する株式会社大善の「採用サイト」でございます。
今回は2021年を振り返る写真企画。
誰に頼まれたわけでもないのに、2009年からの12年間で2600件以上のパチンコ店(と関連物件)を訪ね歩いてきた私が、2021年に撮影したとっておきの写真を紹介します。
パチンコホールマニアの2021年は疾風怒涛でした。理由はもちろん、たくさんのホールが閉店してしまったから。歴史のある小規模店や地域密着型の独立店、創業店舗を畳んだ法人など、閉店情報に触れるたび胸の中に悲しみの嵐が吹き荒れました。
そんな一年間の探訪実績がこちらです。
同じコロナ禍でも去年はGOTOトラベルを利用して250物件以上訪ねることができたので、今年は明らかにパワーダウン。緊急事態宣言が長期に渡ったので仕方がないとはいえ、歯がゆい結果となりました。
探訪した都府県は、愛知県、大阪府、大分県、神奈川県、岐阜県、京都府、埼玉県、佐賀県、滋賀県、静岡県、千葉県、東京都、長崎県、広島県、兵庫県、福井県、福岡県、山口県(五十音順)。
撮った写真の総数は1万枚オーバー。その中から、特に印象深いものを10枚厳選し、撮影したときの心象が伝わるように編集してお目に掛けます。
1.レトロホールの夜景(11月)
全国各地の街の風景をネット地図で確認できる昨今、現地に行かないと味わえないもののひとつが夜景です。
ホールが放つ光は「生」の証。このホールは創業50年以上の歴史ある店舗で「P」の文字が浮かび上がる円形のネオンサインが特徴的。店内には大当りのたびに懐かしいあのファンファーレが響きます。
音声:ファンファーレ
残念ながら店内の撮影許可はいただけませんでしたが、間取りや景品カウンターなどに老舗ホールらしさが匂いたち、幾久しくと願わずにいられませんでした。
2.景品カウンターの美(11月)
創業70年の老舗ホールです。木製の床、住み慣れた部屋のような景品カウンター、80年代感が滴る天井照明、日本中もうどこを探しても発見できそうにない色の洗面所、コーディネートされたタイルの壁。その奥には小さな階段があり、1円パチンココーナーへと続いています。
改装や増築によって店内がどう変化していったか、この写真1枚で空想を楽しめますね。お店の方によると、観光で訪れた外国人が写真を撮っていくこともあるそうです。織りなされた歴史が国籍問わず見る人の心を捉えるのでしょう。
3.真夏の商店街にて(7月)
アーケードの奥をよくご覧ください。ひらがなが躍る赤いネオン看板を。
このホールを訪れたのは2011年の8月以来10年ぶり。インパクトのある店名も看板も当時のままでホッとしましたが、お店の周囲の環境はちょっと変わっていました。
商店街のアーケードが撤去されていたんです。
アーケードの撤去は全国的な流れ。老朽化した設備を取り去って商店街の再活性化を促そうとの事例が多いようですが、時代の趨勢に後押しされてこのホールも姿を変えてしまうのでしょうか。
この地には50年以上前からパチンコ店があり、現在の店名になったのは1995年前後。天井装飾などに当時のトレンドが色濃く残っており、時代に流されず今のままでいてほしい……と願ってしまうのは、傍観者の身勝手なんでしょうね。
4.夜を照らす廃店舗アーチ(7月)
商店街つながりで印象深い物件をもうひとつ。アーケード以上に絶滅が危惧される商店街のアーチです。
商店街の中のお店がアーチに看板を出す、一昔前によく見た風景。
こういったアーチに、すでに閉業した店の看板が残っていることがあります。この写真の物件がまさにそれなのです。
現在はもう営業していないホールです。50年以上この地で営業し、2018年に閉店。そのあと建物はドラッグストアになり、現在はそれも閉店しました。街の移ろいをよそに、この看板には夜ごと灯りが点り、街に華やぎを添え続けています。
ホールを取り巻く記憶や思念がアーチに吸い寄せられて発光しているかのよう。いつまで見られるか分からないからこそ、いっそうまばゆく感じられる光です。
5.スポットライトに導かれ(4月)
これも商店街の物件。居酒屋に転用されたホールがあるというので、夕食がてら店内をじっくり観察することにしました。お店の正面には居酒屋チェーンの看板がデカデカと掲げられ、パチンコ店の痕跡は希薄。そこで、裏口側にまわってみたところ……!
ひっそりとした夜の全蓋式アーケード。どのお店のシャッターも閉まっていましたが、一か所だけぼんやりと灯りが漏れています。それが転用居酒屋だったのです。半開きのシャッターの奥に、店名入りの扉や18禁表示などが垣間見えます。しかも、照明がスポットライトのように降り注ぎ、気分は劇場の特等席です。
なんなのこの奇跡は!
と感激していたら、居酒屋スタッフの喫煙スペースでした。
6.転用物件オブザイヤー(11月)
もうひとつ転用ネタを。今年は転用物件との出会いは少なめでしたが、その中で最もインパクトが強かったのがここです。
リサイクルショップに転用された元「タイガー会館」というホール。
なんと、店舗の内部にネオン看板が残っていて、しかも点灯するんです!
現在の店主は、タイガー会館を創業した方のご子息。昭和30年代にオープンし、2002年まで営業。2003年にリサイクルショップになりました。
「古いパチンコホールの建物が好きで、このネオンを見るために名古屋から来ました」
「へー。まだ点くと思うよ? 点けようか?」
気さくな店主にいろいろな昔話をお聞きすることができました。パチンコ店だった頃の写真を探しておいてくださるそうなので、改めてじっくり取材させて頂く予定です。
7.おめでとう1周年(7月)
東京都福生市にある「ゲームセンタータンポポ」を支える「チームタンポポ」の皆さんです。元パチンコ店だったタンポポが、ゲームセンターとして再出発してからきっかり1年の記念日に撮らせて頂きました。
2020年2月29日、現役のパチンコ店としての役目を終えたタンポポ。当初の予定では、すぐに店内の解体が始まるはずでしたが、チームタンポポが待ったをかけました。
その4ヶ月後、レトロパチンコゲームセンターへと転生。トラブルの絶えない古い設備を維持しながら、温もりのある接客や独自の宣伝戦略、ユニークなイベント等で確実にファンを増やし、1周年の良き日を迎えた最高の笑顔です。
8.わたしたちのルミナリエ(9月)
旅先で特殊景品を得てホールの外に出たら、こんな景色が広がってました。古物商の小窓へと続く光のトンネル。まあ、電球の数はぜんぜん大したことないんですけど、ビクトリーロードを彩るイルミネーションは数割増しで美しく見えました。
9.設置環境が香ばしいで賞(4月)
歴史のあるホールを訪ねる時の心得その1
「周囲に古い看板が残っていないか目配りする」
マニアックな話ですがちょっと聞いて下さいね。パチンコ屋さんって、外装をよくリニューアルするじゃないですか。古いホールでもパッと見は今風になりがち。でも、街角に昔の看板が残っていることが稀にあるんです。
掲示物が密集した壁、野立て看板、街路灯看板、電柱看板など常に目配りしていますが、そうそう大モノに巡り合えるものではありません。その点、これは文句ナシのお宝看板でした。
午後1時堂々オープン。
創業時に設置された看板でしょうかね。
だとすれば、このホールは1990年前後にオープンしたようなので「30年モノ」ということになります。充分熟成されていますが、願わくばこの小屋ごと永久保存して頂きたいものです。
10.一本も欠けることなく(5月)
10枚目は、人知れず「国宝」と呼んでいるこの看板。多くの言葉は必要ありませんね。ただ一言、このネオンサインが存在する世界に生きていたいです。
さいごに
「2021年のパチンコ店」というテーマに時事性を期待していた方には物足りない内容でしたかね。私はジャーナリストではありません。けっして中立ではない「パチンコホールが大好き」な立場で、お店の歴史や未来への希望を表現できる写真を選びました。
また、紹介した物件の詳しい所在地は様々な意図のもと、あえて記していません。場所を知りたい方は、写真や文章に散りばめた情報をもとに探し出してみてください。どうしても分からない、でも行ってみたい……という時は私のTwitterかインスタグラム宛てにご連絡を。
2022年のいばら道を、一緒に歩いて下さる方と写真を通して繋がりたいです。
Twitter:@henaieika
Instagram:@hen_ai_eika
ライター紹介:栄華Twitterリンク変更用
パチンコライター。全国2600ヶ所以上のパチンコ店を探訪し写真撮影を行うほか、パチンコ書籍やパチンコ玩具等の蒐集など周辺文化の探究に軸足を置いた活動を行う。パチテレ!「パチンコロックンロールDX」レギュラー出演。パチンコ必勝ガイドにて「栄華の旅がたり」連載中。著著「八画文化会館VOL.7 ~I ♡ PACHINKO HALL パチンコホールが大好き!!~」が好評発売中。 偏愛パチンコバンド「テンゴ」で作詞とボーカルを担当。