50年前のパチンコ屋さんの名前ランキング ~単語篇~

50年前のパチンコ屋さんの名前ランキング ~単語篇~

こんにちは、偏愛パチンコライターの栄華です。

このサイトは、栃木県と東京都でパチンコホール「BBステーション」を経営する株式会社大善の「採用サイト」でございます。

 

ときに皆さまは、YouTubeをご覧になりますか。

 

私は見ます。ものすごく見ます。

コロナ禍の巣ごもり需要が追い風となり、パチンコ関連のチャンネルも見応えのあるものが増えましたよね。中でも最注目株はなんといっても、2020年9月のチャンネル開設以来、たったの7ヶ月で登録者数20万人を突破した「パチ屋の裏研修」でしょう。

 

なんと、この大人気チャンネルで当サイトの記事が取り上げられたのです!

 

YouTubeチャンネル「パチ屋の裏研修」

パチンコホールや業界の裏事情を紹介する動画を配信しておられるチャンネルです。この手のコンテンツにありがちな過度の煽りや露悪感が控えめなところに魅力を感じて私も楽しく拝見しています。長い業界歴に裏打ちされた豊富な知識を生かし、週6ペースで動画を投稿するバイタリティには驚くばかり。しかも、知識のないテーマを扱うときはきちんと取材や裏取りをなさっています。

 

そう言い切れるのは、実は私自身が裏研修さんに情報提供をしたからです。

それがこちらの動画。

 

大人の事情で記事に動画を埋め込むことができないのでサムネだけでスミマセン。裏研修さんのチャンネルからご覧ください

 

↑この動画は、当サイトに掲載された記事を参照して制作されました。

パチンコ店のネオン看板は「パ」に限って切れているのか?

 

「パチンコ店の看板はパに限って切れている」という都市伝説について調べておられた裏研修の店長さん(たぶん)が当サイトにたどり着き、記事を読んだ上で「動画で取り上げたい」と私に連絡してくださったのです。

 

「パチンコ店のネオンはパに限って切れてないし、

切れていたとしてもわざとじゃない」

 

という持論を多くの方に広めたかった私は、大善さんに許可を頂いた上で情報提供することに。そして今年の1月、さきほどの動画が公開されたわけですが、想像以上の反響に驚くばかりでした。

 

私がユーチューバーであれば、裏研修さんと「コラボ」なるものをやってみたいところですが、ユーチューバーじゃないのでそれは叶いません。そこで、私が提供させていただいた情報の見返りに、「今度は裏研修さんから当サイトに記事のテーマを下さい」とお願いしてみました。

 

お声がけしたところ、ご快諾を頂きました。

そして拝借したテーマがこちらです。

 

「パチンコ店の名前に多く使われている単語ランキングTOP10を調べた」

 

 

この動画と同じ試みをやってみようと思います。

ただし 1972年バージョン で!

 

 

1972年のパチンコ店の名前に多く使われている単語は?

なぜ1972年なのか。

個人的な事情です。私が閲覧可能な「パチンコホールの全国リスト」の中で最も古いのが1972年版なのです。現在と隔たりが大きい方が面白い結果になりそうですよね。

 

裏研修さんはパチンコホール検索サイト「P-world」に登録されている2020年版の店舗データ、8,247店分をもとに集計されたそうですが、私はこちらを使用しました。

 

「全国遊技場名鑑’73」東日本編&西日本編(娯楽産業協会)

 

掲載店舗数は9,164店。

店舗数としては現在より多かったんですね。なお、書名は「’73」となっていますが、1972年12月に発行されているので1972年のデータということになります。

 

▶ 集計ルール 

以下3点は裏研修さんと揃えます。

・店名を単語に分解して集計

 (例:BBステーション日暮里店→「B」「ステーション」「日暮里」「店」)

・地名は除外

・読みや意味が同じ語は合算(例:「セブン」「7」「SEVEN」)

 

ただし、

 

・「パチンコ」「スロット」「パーラー」という単語は除外

 

というルールについては、除外しないほうが面白いデータが採れそうだったのでカウントすることにしました。

 

 参考: 2020年のトップ10 「パチ屋の裏研修」調べ 

1位……1、ワン  6位……スーパー
2位……館  7位……ビッグ
3位……ニュー  8位……A
4位……ランド  8位……ラッキー
5位……P  10位……M

 

では、1972年のベスト10を発表します!

 

 

第10位 「パチンコ」(ぱちんこ)……230件

これはなかなか意外な結果ではないでしょうか。

2020年の集計で裏研修さんが「パチンコ」「スロット」「パーラー」を除外ワードにしたのは、入れてしまったらそれらの語が上位を占めてしまい面白味がなくなるからです。ところが、1972年はしっかりカウントしても10位。「スロット」「パーラー」に至っては0件です。

 

「パーラー」にレトロ感を抱く方もいらっしゃるかもしれませんが、このワードが広まったのは1986年以降、業界誌「グリーンべると」が牽引した「パーラーコールキャンペーン」がきっかけと言われています。

 

 

第9位「1」(一、ワン)……237件

2020年には堂々1位だった「1」が9位です。多くは「1」の前に「第」を伴い、「第1+店名」という形で使われていました。

 

ここでクイズ。

「1」の次に多かった数字はなんでしょうか?

 

「第1」が多かったということは「第2」があるはずだから「2」でしょうか? それとも、2020年の数字ランキングで2位だった「7」でしょうか? 

 

いえいえ、どちらも違うのです。

 

正解は「三」。190件以上ありました。

しかも「三」と漢字表記する例が多かったです。日本人は「三」を好むと言われます。「石の上にも三年」「三度目の正直」「早起きは三文の徳」といったことわざに用いたり、「三種の神器」「御三家」「日本三大〇〇」など、三つで一区切りとする表現を沢山生み出してきました。また、日本人の苗字に最も多く使われている漢数字は「三」というデータもあり、まだ漢字表記の店名が多かった1972年ごろにはそういった影響が色濃く現れていたのでしょうね。

 

<仮説>
余談ですが、パチンコメーカーの名前に最も多く使われている数字も「三」です。三洋を筆頭に、SANKYOは現在も登記名に「三共」を使っていますし、SanseiR&Dも創業時の商号は「三星」でした。裏研修さんの2020年ランキングでは18位に「サン」という単語が入っていましたが、もしかすると元々は「三」のつく店名だったのかもしれません。この仮説が正しいかどうか、いつか調査してみたいと思います。

 

 

第8位「第」……247件

「第1、第2、第3……」と、数字の前につく形で数を伸ばしました。面白いのは、2020年ランキングには20位以内にすら入っていないことです。多店舗展開するホールは増えつつあったものの現在のような大規模チェーンはなく、系列店の数が少なかったので「第」を付けるぐらいで事足りたのでしょう。

 

 

第7位「〇〇屋」(や、ヤ、家)……271件

これは時代を感じますね~。多かった「マツヤ」「いせや」「あたり屋」をはじめ、「かどや」「紅屋」「かぎや」「ふく屋」「ハトヤ」などなど1~3店舗ぐらいしかない店名がとにかく多数ありました。現在ではめっきり見かけなくなった気がしますが、実は100件以上残っています。最も多いのは「夢屋」さんですね。

 

 

第6位「丸」(マル)……316件

6位にして300件台に突入。多かったのは「大丸」「マルタマ」「日の丸」「丸善」などなど。実を言うと、もっと件数が多かったと思われます。というのも、たぶんマルと読むんだけど読み仮名がついてないのでカウントしなかった店名が思いのほか多かったからです。 例えばこういうのです。

 

「丸囲み文字」というらしい

 

↑これが店名なんです。もちろん現在のホールには1件もありませんが、1972年当時は散見されました。まあ間違いなく「マルハチ」「マルキン」「マルマン」「マルエス」と読むんでしょうね。これらを「マル」に含むと、ランキングは6位→5位に上昇します。

 

 

第5位「遊技場」……321件

遊技場は遠くなりにけり。今回のランキングの中で、1972年→2020年の減少率がダントツでトップのワードです。2020年、P-worldに登録されているホールで「遊技場」と付くのは1店舗だけになっていました。

 

その遊技場がこちら

 

 

 

第4位「ニュー」……530件

2020年のランキングでは第3位ですので、50年の時を経て1ランクアップしたことになりますが、使用件数は2020年(208件)の倍以上。パチンコ店に限らず、ホテルやキャバレーや喫茶店や床屋などなど、店名に「ニュー」を付けがちな時代でしたね。また、「第2」と同じ意味合いで新店に「ニュー」と付けるホールも多かったようです。英語の方がカッコいいですもんね。

 

 

看板の「ニュー」の文字はなぜか小さいことが多い

 

 

 

第3位「センター」……840件

3位から上は使用件数が急上昇します。まずは「センター」。2020年は50件ほどしか残っていないのでなかなかの減少率です。

 

集計していて気付いたのは「愛知県にやたらセンターが多い!」ということ。

 

全国のセンター数/全国の店舗数=840/9164(比率0.0917)約9%

愛知のセンター数/愛知の店舗数=140/589(比率0.2377)約24%

 

と、問答無用で多いことがわかります。

 

<仮説>
私は愛知県在住で、県内で頻繁にパチンコを打つようになってからは20年ほどですが、「〇〇センター」というパチンコ店が多いと感じることは特にありませんでした。ただ、愛知って「日本の真ん中」だと執拗に主張するよな~という印象はあります。名古屋市を中心都市とした「中部地方」という地域名もありますし、「中部・真ん中=センター」というワードが好まれたのかもしれません。

 

毎年8月に名古屋で開催される「日本ど真ん中祭り」をモチーフにしたパチンコ台(竹屋・2019年)

 

名古屋駅前のミッドランドスクエア。ミッドランドは「中部地方」の意

 

 

 

第2位「ホール」……1122件

パチンコ店について書いたり話したりするとき、ごくごく一般的に用いられる「ホール」というワード。私も記事を執筆するとき多用します。行きつけのパチンコ店をマイホ(マイホール)と呼ぶ方も多いでしょう。「ホール=パチンコ店」という認識はパチンコユーザー以外にもけっこう定着しているように感じます。

 

しかし、2020年のランキングでは20位以内にも入っておらず、「〇〇ホール」という名称は87店舗となっています。単語としては人口に膾炙しているのに、なんだか不思議ですね。多用されすぎて新鮮味がなくなってしまったのでしょうか。

 

 

 

第1位「会館」……1824件

ぶっちぎりの第1位は「会館」でした!

2020年のランキングでは「館」が2位(250件)になっていますが、「会館」をカウントしてみると90件ほどです。

 

80年代~90年代にはホールの名称のカタカナ化(横文字化)が進みます。おそらく「会館」に替わるワードが模索された時代があったことでしょう。「会館」を英訳すると「ホール」です。これも仮説ですが、1973年以降に「会館」と「ホール」の件数が逆転する瞬間があったりしたら面白いですね。そこに「パーラー」や「パチンコ」といったワードや、横文字化の波がどのように押し寄せてくるのか。また、大規模チェーンがランキングの傾向に変容をもたらすのはいつ頃からなのか……。時系列に見てゆくと一冊本が書けるほど楽しい考察ができそうです。

 

 

 

さいごに

「50年前のパチンコ屋さんの名前トップ10」。今回は「パチ屋の裏研修」さんの動画に呼応する形で、店名に多く使われている「単語」のランキングを紹介しました。

 

「いや、単語じゃなくて、どんな名前のパチンコ店が多かったのか知りたい」と思われた方はいらっしゃいませんか? 現在であれば「チェーン店舗数の多い法人」のホールが上位に来てしまうので、ベスト5ぐらいまで簡単に想像できちゃいますが、50年前はどうだったのでしょう。知りたいと思いませんか?(思ってほしい)

 

もしリクエストがありましたら、「店名ランキング」も書きたいと思います。あわせて「ユニークな店名」「一番長い店名、短い店名」「世相を感じる店名」なども。

 

パチンコ文化の成熟に伴い、法令や規制の歴史、機種の歴史はまとめられつつありますが、店名の歴史に言及する人はほぼ存在しません。月並みな表現ですが、名前とは時代を映す鏡です。そして自我の一部であり、主体の存在を外的に規定するものでもあります。店名の歴史を語ることは、「パチンコ店とは何か」を考えることにもつながるのでは……そんな壮大なテーマを胸に、これからもパチンコ店の店名データをコツコツ集計したいと思います。

 

 

<参考文献・論文>

『全国遊技場名鑑 ‘73 東日本篇』娯楽産業協会 1972年

『全国遊技場名鑑 ‘73 西日本篇』娯楽産業協会 1972年

『3の秘密―日本人はなぜ数字の3が好きなのか』畑田国男, 加瀬清志 PHP研究所 1993年

『日本の苗字の漢字の特徴―ウェブサイトのデータからわかること―』 成田 徹男 2017年

  

ライター紹介:栄華

パチンコライター。全国2500ヶ所以上のパチンコ店を探訪し写真撮影を行うほか、パチンコ書籍やパチンコ玩具等の蒐集など周辺文化の探究に軸足を置いた活動を行う。パチテレ!「パチってる場合ですよ!」「パチンコロックンロールDX」レギュラー。パチンコ必勝ガイドにて「栄華の旅がたり」連載中。著著「八画文化会館VOL.7 ~I ♡ PACHINKO HALL パチンコホールが大好き!!~」が好評発売中。 偏愛パチンコバンド「テンゴ」で作詞とボーカルを担当。