2週間の自宅療養予行演習

2週間の自宅療養予行演習

(※この記事は2020年4月上旬に執筆しました)

 

こんにちは。偏愛パチンコライターの栄華です。

2020年春。気持ちも新たに就職活動に臨もうと思っておられた皆様にとって、不安な新年度の幕開けになってしまいました。もちろん、不安を抱えているのは就職・転職希望者だけではありません。日本中、世界中の人々が、まるでディストピア小説の中に迷い込んだかのような混沌の中、今日をどう生きればいいのか、未来をどう思い描けばいいのか、残酷な現実と向き合っています。

 

前回私は このような記事 を書きました。文末で予告したとおり今月の更新に向けて、シリーズ企画「一枚のマッチラベルから」を書き始めたものの、胸の中がどうしてもざわつきます。

 

ご存知の通り、パチンコ店は新型コロナウイルスのクラスター発生源になりうるのではないかとバッシングを浴びています。私は個人的に「パチンコホールは3密にあたらない」という見解を支持しており、3月半ばごろまでは「感染対策をした上で、愛着のある場所にはなるべくお金を落とそう」と考えていました。しかし3月末頃から「どこで感染したのかわからない」「手洗いやアルコール消毒を心掛けていた」という感染者の情報が目につくようになり、私もようやく「自分も感染しているのではないか」と危機感を持ちました。というのも、私は3月23日から26日まで仕事で東京に滞在し、「満員に近い電車に乗る」「混み合った飲食店で食事をする」「不特定多数が使用するトイレを使う(複数個所)」「ソーシャルディスタンシングを意識せず会話する」といった行動を取っていたからです。

 

そこで帰宅後、2週間は外出を控えようと決めました。本来ならホール探訪で全国を駆け回りたい時期ですが、「キャンピングカーで廃ホールのみ訪ねる」といった対策ができない限り自粛すべきと判断したのです。最初は「家にいればいいんでしょ」と簡単に考えていましたが、「自分は感染者である」と仮定して実際生活してみると、漫然と家にいるだけではダメだということが分かってきました。

 

「PCR検査陽性でも軽症者は自宅で療養」となる可能性が現実味を帯びてきた今、2週間「感染者になったつもり」で自宅待機したのはいい予行演習になりました。そこで今回は記事の内容を変更し、「我が家で実行した感染防止対策」について書かせて頂こうと思います。……と言っても個人的な判断で行ったことなので、あくまで「参考」と捉えて頂き、家庭内で感染を広げないための情報交換のきっかけにして頂けると幸いです。

 

 

我が家の基本情報

私は名古屋市内在住。夫と二人暮らしです。夫は名古屋市内の専門学校の教員で、毎日電車に乗って通勤、主に10代の学生たちを指導しています。夫には三重県で一人暮らしをする89歳の母親がいて、「1週間の半分は母親と同居」しています。夫は火・水・木曜日は三重県の実家に帰り、金・土・日・月は名古屋の自宅に帰るという変則的な生活を送っているのです。

 

「夫の母に感染させてはいけない」

 

最優先で考えたのはこれです。

みんな誰かの大切な人。まずは大切な人の大切な人を守るのです。

 

 

具体的な対策

 

①通 勤

外出自粛を決めた時点で、夫に「名古屋の自宅に戻って来ないで」と告げなかったことを後悔しました。そうすれば自宅で隔離状態になれたからです。しかしそれに気づいたのは、27日(金)に夫が帰宅してからでした。感染対策をしながら週末を過ごし、迎えた月曜日。三重県知事が「愛知県から三重県への来訪、帰省を控えて欲しい」と自粛を要請しました。義母からも「三重に来ない方がいいのでは」と提案され、夫はしばらく実家に帰るのをやめることになりました。

 

義母を感染リスクから遠ざけるためには、夫の通勤・勤務中にも可能な限り配慮する必要があります。まず電車通勤をやめて、マイカー通勤に切り替えてもらうことにしました。ガソリン代に加え一日800円の駐車料金がかかり、これが続くとけっこうな負担になります。セミプロ時代にプラス収支をコツコツ貯めて作った貯蓄で補填しつつ、長期化することも見据えて経済的負担が少ない方法(夫の会社と交渉、駐車場の月極契約など)も模索します。

 

 

②消 毒

新型コロナ流行の前に買い置きしていた除菌グッズが役に立ちました。特に重宝したのが、フマキラーの「キッチン用除菌スプレー」。

本来はまな板などの除菌に使うものですが、私はこれを、夫が会社から帰宅するやいなや、玄関先でバッグや上着やスマートフォンなどに吹きかけています。衣類用ではありませんが、乾燥後にシミが残ったり、繊維やプリントを傷めることも今のところはありません(というかこの際少しぐらい傷んでも文句はない)。キッチン除菌スプレーはアルコール濃度が低くウイルスに効果が薄いとも言われますが、フマキラーのウェブサイトには「新型コロナウイルスと同じ科に分類されるウイルスの不活性化を確認した」という内容の試験データが掲載されています。

 

 

手指の消毒も「手ピカジェル」の買い置きがありましたが、残りが少なくなってきました。同じく買い置きしてあったライオンの「キレイキレイ薬用ハンドジェル」に頼りたいところですが、こちらは消毒の主な有効成分が「ベンザルコニウム塩化物」というもので、現段階では「コロナウイルスに有効というエビデンスがない」という情報が多かったので予備にまわすことにしました。やや高価でしたが、ネットショップでアルコール消毒ジェルを購入予約してあります。

 

 

③マスク

夫の職場のデスクから箱買いしていた不織布マスクが発見され(かなり前に購入したので本人は忘れていたらしい)助かっていましたが、そのうち底をつくので、洗って使えるマスクを数種類手に入れました。そして2週間は、

 

「同じ部屋にいる時はお互いにマスクを着用」

 

というルールを決めたのですが、これを守るのがけっこう難しいことがわかりました。症状が出る気配が全くないことも手伝って「まあいいか」とつい気が緩んでしまいます。もし本当に感染していた場合、徹底しなければならないでしょう。

 

マスクと共に「外出中にマスクを外した時に入れる袋」を携帯してもらってますが使ってくれてるかな……

 

 

④食 事

外食は控えました。マイカー通勤その他で予定外の出費が増えたこともあり、テイクアウトも極力控えざるをえませんでした。ネット上で情報を漁る限り、料理からの経口感染の可能性は低いそうなので、マスクと手袋を装着し、無言で自分と夫の食事を作りました。実際に感染していた場合、調理はしない方が安心なのかもしれませんが、家庭内で「主に調理を担当する人」が感染者となり、かつ無症状だった場合、完全に避けるのは難しいのではないでしょうか。とりあえず「レシピを見る時に未消毒のスマホやタブレットを触らない」「包丁やピーラーで手を傷つけない」ように注意しました。

 

料理は大皿からの取り分けをせず、1人分ずつお皿を分けます。私が食べ残すと夫が「もったいない」と手を出してくる習慣があるので、自分のぶんの盛り付けは食べきれる量で。食事中はマスクができないので、「なるべくしゃべらない」「しゃべるときは相手に顔を向けない」と約束しましたが、これも徹底するのはかなり難しかったです。話しかけてくる夫を制するとしょんぼりさせてしまいますし、やはり会話をする時はどうしても顔を見てしまいます。本当に感染していた場合、無症状でも食事は別室で摂るべきでしょう。

 

洗い物を減らすため仕切り皿(100円ショップの)を使用

 

※使用後の食器の扱いについては、「感染者の食器をハイターを水で希釈した液で消毒してから洗う」「通常通り一緒に洗っていい」どちらの情報もありましたが、「一緒に洗っていい」の方が多かったです。

 

 

⑤その他

・いつもより換気を心がける

・爪は深爪寸前ぐらいまで短く切る

・普段はハンドケアをサボり気味だけど、ささくれを治すためクリームでケアする

・正しく手洗いし、ペーパータオルで拭く

・キッチンハイターの希釈液でドアノブやスイッチや玄関などを掃除する

・帰宅した夫に消毒スプレーを吹きかけたあと、お風呂に直行させる

・バスタオルは共有しない

・念のためスーパーやコンビニで購入してきた商品のパッケージの表面を消毒液で拭く

・トイレの換気扇を常に回しておく

・トイレはフタをして流す

 

 

以上、実行したのはこんなところです。「ちゃんとできなかったこと」「本当はやるべきだけどやらなかったこと」もあったので、完璧に遂行するのは本当に大変だと思います。

 

これらをすべて続けるのはさすがにしんどいので、2週間経過した4月9日からはマスクやゴム手袋ほかいくつか緩和しようと思っています。しかし、毎日通勤している夫がいつウイルスを連れて来るか知れないので、緊張感は持続しなければなりません。ちなみに、私はおかげさまで熱も咳も一切なく、食べ物の味や香りがなくなるようなこともありませんでした。

 

あと、感染対策とは直接関係ありませんが、家庭内がギスギスした雰囲気にならないよう気をつけました。結婚して丸18年。帰宅した夫を玄関まで出迎えるようなこともなくなっていましたが、私が消毒スプレーを持って廊下を走って来るのが夫は楽しかったようですし、車の運転が好きなのでマイカー出勤も喜んでくれてます。

 

 

さいごに

今回、「感染者になったつもり」で生活することで、自宅で感染拡大を防ぐことの難しさを強く実感ました。小さなお子さんやお年寄りがいるご家庭なら……と想像すると「自宅療養なんて無理なのでは?」と思ったほどです。有効な治療法やお薬が安定して供給されるようになるまで長期戦が予想されます。家族と自分自身を守り抜くため、このような予行演習で意識を高めておくのも有効ではないでしょうか。

 

ただ、もう一度だけ言っておきます。これは私の判断で実践したことであり、すべて正しいとは限りません。参考程度にとどめて頂くとともに、「間違っているのでは?」と思われる記述がありましたら、私のTwitterあてにご指摘ください。

@henaieika

 

最後に。

「こんな時だからこそ普段通りの記事が読みたかった」というみなさま、ごめんなさい。来月は「一枚のマッチラベルから」をお届けしますね。

 

ああ、パチンコ打ちたいなあ!

 

<主な参考サイト>

厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について

厚生労働省:新型コロナウイルスの感染が疑われる人がいる場合の家庭内での注意事項

愛知県 新型コロナウイルス感染症対策サイト:感染拡大防止のため

東北医科薬科大学病院:新型コロナウイルス感染症~市民向け感染予防ハンドブック(PDF)

日本赤十字社 和歌山医療センター:感染を予防するための行動

  

ライター紹介:栄華

パチンコライター。全国2500ヶ所以上のパチンコ店を探訪し写真撮影を行うほか、パチンコ書籍やパチンコ玩具等の蒐集など周辺文化の探究に軸足を置いた活動を行う。パチテレ!「パチってる場合ですよ!」「パチンコロックンロールDX」レギュラー。パチンコ必勝ガイドにて「栄華の旅がたり」連載中。著著「八画文化会館VOL.7 ~I ♡ PACHINKO HALL パチンコホールが大好き!!~」が好評発売中。 偏愛パチンコバンド「テンゴ」で作詞とボーカルを担当。