特殊な景品を凝視する ~後編~

特殊な景品を凝視する ~後編~

こんにちは、偏愛パチンコライターの栄華です。

このサイトは、栃木県と東京都でパチンコホール「BBステーション」を経営する株式会社大善の「採用サイト」でございます。

 

前回も色々なご反響をありがとうございました。「後編が楽しみ」というお声が多かったのでいささか緊張ぎみですが、気負わず特殊景品の豊かさを楽しくお伝えしたいと思います。

 

 

裏研修さんのツイート

本題に入る前に、反響のひとつをご紹介します。

この連載で以前コラボさせて頂いたYouTubeチャンネル「パチ屋の裏研修」さんが、前回記事を受けてこのようにツイートしてくださいました。

 

 

 

特殊景品の呼び方のバリエーションについて。

ホール探訪へ出掛けて全国津々浦々でパチンコを打ちますが、地元の方と特殊景品についてお話するシチュエーションは全くなかったので「独自の呼び方」には思い至りませんでした。このツイートのリプ欄の内容をまとめたのがこちらです。

 

大阪:「文鎮(ぶんちん)」

福井、富山:「もや」

地域不明:「キーパー」「石」「ガム」「A賞品」「とっけい」「レザー」

複数の地域:「大景品、中景品、小景品」

お客さん側の呼び方と、ホール・交換所・卸業者の呼び方が違う場合があるようです。また、大阪の「文鎮」をはじめ「石」などは、景品に用いられる物品そのものの名称や略称です。地域だけでなくあらゆる位相を考慮してまとめる必要がありますね。民俗学の研究みたいにちゃんとやれる自信はありませんが、今後は特殊景品好きの端くれとして「呼び方」の情報も集めて行こうと思います。

 

 

さあご覧ください

ではここからは「インターネット史上、最も数多く特殊景品の写真を見られる記事」を目指してどんどん写真をお目に掛けます。

 

前編でたくさん紹介した「プレート(カード)型」の特殊景品。実はまだ紹介したいものがあるんです。プレート型の中でも特に「珍品度」が高いと思われるものたちです。

 

 

プレート型・珍品

▶パソコン用キーボード(愛知県)

2019年撮影。手にした時「えっ……」と声が漏れましたね。失礼ながら「 プラスチックの板にそれっぽい記号や文字が書いてあるだけなんでしょ?」と疑ってしまいました。でも、本当にあった商品なんですよね~。

 

Keiboard Flat(Mevael)

http://www.mevael.co.jp/

▲携帯電話(ガラケー)感覚でパソコン入力が可能というコンセプトの商品だったようです。上記のウェブサイトを見ると、カード型が発売されたのは2009年1月とのこと。

 

▶パソコン用マウス(愛知県)

先程のキーボードと同じタイミングで入手。同じ“Mevael”というメーカーの製品です。キーボードだけでなくカード型のマウスも製造していたんですね。

 

▶静電気リムーバー(愛知県)

3連チャンすみません。これもキーボード&マウスと同じ所で手に入れました。確かこれが小景品です。Pentel……文具メーカーのぺんてる株式会社の製品なんですね。

 

▶電卓(福島県)

2017年撮影。カード電卓ですね。電卓が特殊景品に使われていたという話は聞いたことがあったので、ずっと出会ってみたいと思っていました。受け取った瞬間「おおっ!」と声が出ましたね。この景品を入手したホールは残念ながら昨年閉業しています。

 

▶マジックピクチャー(神奈川県)

2020年撮影。珍品中の珍品です。角度によって絵が変化する印刷技術を使ったふしぎな絵。懐かしの「ダッコちゃん」の目が角度によってウインクしてるように見えたアレと同じ仕組みです。肉感的な西洋人女性が薄着でこちらを見ていますね。これが角度を変えると……。

 

 

おっと。

モザイクの向こうを楽しめるのは景品を得た人の特権ということにしておきましょう。ちなみにこれは大の景品で、小景品もありました。

 

▲こちらはなぜか「マジックピクチュアー」という表記になっていて、角度を変えても絵は変わらず、どこがマジックなのか分からん品でした。

 

以上、ここまでが「プレート型」として分類したものです。

このあといよいよ「現品型」が登場します。

とは言え、プレート型との境界は意外とあいまいで、私のさじ加減で分類させていただきましたことをご了承ください。

 

 

現品型

▶レコード針(千葉県)

2011年撮影。そのあと長らくなんの変哲もないプレート型景品と気に留めていなかったんですが、数年前になんだこれ? と調べてレコード針だとわかりました(こういう形状で販売されていた商品のようです)。レコード針が特殊景品の定番のひとつだったことは知っていましたが、昭和時代の昔話だと思い込んでいたので驚きました。ちなみにこの景品を使用していたホールは2017年に閉業しています。

 

▶ボールペン・シャーペン 

これは現在でもよく見かける現品型の特殊景品のひとつですね。特殊景品のことを「ペン」と呼ぶ地域もあるようです。私はつい最近、2021年11月に福井県のホールで出会うことができました。せっかくなのでこの記事のためにひとつ持ち帰ってきましたよ。

 

~開封しました~

 

▲こちらが持ち帰ったペン。

 

 

▲ケースには、あのカメラメーカーの「Nikon」のロゴが。

 

 

▲でもボールペンにしてはちっちゃいような……?

 

 

▲320円の値札。

 

 

▲開封!

 

 

▲黒い部分をひっぱり出してみると……。

 

 

▲ペン先が!

 

 

▲ボディに差し込むと通常サイズのペンに。

 

 

▶コーヒー豆(神奈川県)

「珍しい特殊景品といえば?」とアンケートを取ると挙げられがちなコーヒー豆。創業60年のコーヒーメーカーM社にパチンコ景品部門があったことは有名です。この写真のコーヒー豆は別会社のもの。2020年の2月に入手しましたが、ホールはその数か月後に閉店。持ち帰った大景品が記念の品となりました。中を見てみたいですが、もったいなくて開封できません……。

 

 

いかん。

まだ半分も紹介できてないので加速装置を発動しますね。

 

 

▶しおり(大阪府)

本のしおりにするにはけっこうな厚みがあります。年々減ってはいますが、現在も使用されている特殊景品だと思います。

 

▶アトマイザー(大阪府)

香水を移し替えて携帯できる容器ですね。シュッと吹きかけるやつ。これに出会えるのは圧倒的に大阪です。余談ですが、交換所の貼り紙にアトマイザーのことを「AT」って書いてあるのが個人的に好きです。

 

AT

 

 

▶発火石(ライター石・フリント)

特殊景品=「石」と呼んでいた地域は多いようです。石とはライターの発火石のこと。形状は様々で全国的に見られました。

 

▶ゴルフのマーカー 

経験則ですが、今も使われている現品型特殊景品の中で、このあと紹介するアクセサリー(ペンダントトップ)と同じぐらい多いのではないかと感じています。

 

▶アクセサリー 

前回記事のプレート型景品でもたくさん紹介しましたが、やっぱり現品型にもペンダントは多いですね。チェーンまでついている物もあります。

 

▶真珠(愛知県)

2018年撮影。アクセサリー等に加工されていないそのままの真珠(人工?)です。

 

▶シャープペンシルの芯(愛知県)

前回記事でプレート型のシャー芯をご紹介しましたが、このように現品もあります。写真はいずれも愛知県で撮影。現在も営業しているホールなので、まだお目にかかれるかもしれません。

 

▶ボタン 

愛知県と熊本県、かなり離れた場所で同じデザインのボタンが。

 

▶毛(千葉県)

後にも出てきますが、釣具が特殊景品に用いられる例はけっこう多かったようです。写真は静岡と愛知のホールで入手しましたが、この記事を執筆している今日現在いずれも営業しています(嬉!)

 

▶練り香水(神奈川県)

2020年撮影。練り香水とは、液体ではなくバーム状になった香水のことです。これは昭和20年代からポマードやヘアクリームなどを製造していた東京の「ケンシ精香」の製品。ケンシの化粧品は他にもいろいろ特殊景品に用いられていたようです。

 

▶ネッカチーフ(愛知県)

ケースに商品名がありませんでした。持ち帰って開封もしていないのでハッキリ分からないのですが、この景品の存在を教えてくださった方によると「ネッカチーフでは?」とのことです。製造会社の詳細も分からない謎の景品です。

 

 

 

以上が、私が現役のホールで実際に遊技をした結果得た特殊景品でした。けっこうなレアアイテムがありましたよね。

 

では次が最終章です。

コレクション品を紹介いたします。

 

 

コレクション品

現在は流通しなくなった特殊景品を、蒐集物として手に入れたものです。知り合いから譲り受けたり、ネットオークションなどで手に入れたものがほとんどです。実際に自分がホールで入手したわけではないので「ホントに特殊景品だったの?」と問われたら完全には肯定できない物もありますが、信頼できる筋から手に入れています。

 

▶海外の切手(岩手県)

まずはこちら。海外の切手が封入されたプレート型景品です(写真はエクアドルとパラグアイのもの)。パチンコライターの貴方野チェロスさんから譲って頂きました(ありがとうございます)。そしてチェロスさんは、元敏腕ホール店長で現在はライター活動もなさっているCRAナカムラさんから譲り受けたという流転の一品です(ありがとうございます)。

 

▶高級ブランド風の財布(沖縄県)

これは色んな意味ですごい品です。「ホントに特殊景品なの?」と疑いたくなりますよね。私も初めて名波誠さんからお聞きしたときは「噓でしょ?」と思いました。『パチスロひとり旅』で有名な、あの名波誠さんです。このお財布について「DMMぱちタウン」のウェブ連載にお書きになった記事があるのでご一読ください。

 

名波誠さん「特殊なやつ10連発」

https://p-town.dmm.com/writers/nanami/4156

▲「耳栓」「メジャー」といった珍品のラストを財布が堂々と飾っています。

 

私は名波さんにホールの場所をお聞きし、2018年に訪ねました。その時、すでに特殊景品はプレート型に変わっていたのですが、思い切ってホールの方に質問してみました。

 

「以前はお財布が特殊景品でしたよね……?」

「うん。まだいくつかあるよー。もう使ってないからあげるよー」

 

そんな経緯で譲り受けることになり、自宅で保管しております。

 

▶ヤニ取りパイプ(沖縄県)

これもお財布と同じホールで使用されていたもの。遊技業組合のステッカーの類もない、ありのままのヤニ取りパイプでした。

 

▶文鎮(宮城県)

文鎮という割に重量感に乏しいのはご愛嬌。これは宮城県で使われていたもので、地元の方からも「見た記憶がある」とお聞きしています。ところで、大阪では特殊景品が「ぶんちん」と呼ばれたそうですが、私は「大阪文鎮」に遭遇できていません。おそらく現在は使われていないので、蒐集品を持っている方がおられたらぜひ画像を見せて下さい。

 

▶発火石(ライター石・フリント) 

特殊景品を集めていて、自然と数が増えたのが発火石。それだけ種類や流通量が多かったということでしょうね。

 

▶リングスケール 

指輪のサイズを測る道具ですね。写真のリングのサイズは14号。

 

▶書道の墨(大阪府)

「特殊景品って言われても……ただの墨じゃん」って感じなんですけど、確かな筋から入手した品です。譲って下さった方とのお約束で細かな経緯は書けませんが、確かに特殊景品として使用されていたもので、裏に大阪府遊技業協同組合のシールもあります。

 

▶釣りのウキと釣り糸セット(大阪府)

これも墨と同じ方から譲り受けました。釣具メーカー・オリムピック株式会社製で「100円」の値札がついていました。

 

▶蝶の標本(大阪府)

手のひらサイズの可愛い標本

 

「蝶の標本の特殊景品が存在した」という話を聞いたのは何年前のことだったか。1970年代に大阪で青春時代を過ごした知人からの情報で「生き物の亡骸が特殊景品に使われていた」という事実に耽美的な想像力を搔き立てられました。それからとというもの、一体どんな姿・形をしていたんだろうと幾度となく夢想したものです。とある経緯である方から譲り受けることになり、手にした時は感激で震えました。

 

 

特殊景品研究会

前後編通して「ネット史上、最も数多く特殊景品の写真を見られる記事」という目標は達したと自負しておりますが、期待にお応えできたでしょうか。自身で撮影した特殊景品の写真を8割方放出しました。

 

後編は入手場所に「愛知、大阪、神奈川」という偏りがあったことにお気づきの方もおられると思います。いずれもパチンコ店の数が多く情報が集まりやすい地域ですが、神奈川県については特殊景品の愛好家さんから助力がなければ「コーヒー豆」「マジックピクチャー」「練り香水」といった珍品にたどり着くことはできませんでした。Twitterでは、ジャイケル・マクソン(@jaychael)さんという方が #特殊景品研究会 というタグを作って情報を共有なさっています。この記事にない景品の写真も見ることができますので、興味を抱かれた方は情報収集にお力添えをお願い致します。

 

まだ見ぬ特殊景品は無数に存在します。写真が手に入らないものは、書物などの記録を集める作業が必要でしょう。時代ごとの変遷も追いたいですし、いずれは特殊景品を製造している企業に取材をしてみたいものです。

 

記事はここで終わりますが、時々また覗きに来てください。

実はですね、新しい特殊景品を手に入れたら、こっそり写真の点数を増やしておこうと目論んでいるのです。

 

 

前編はこちら

 

※写真を追加しました(2021.12.6)

 

<スペシャルサンクス>

貴方野チェロスさん、さんかいさん、CRAナカムラさん、ジャイケルマクソンさん、てーけつさん、名波誠さん(五十音順)

 

※写真の無断転載を禁じます。

 

ライター紹介:栄華

パチンコライター。全国2600ヶ所以上のパチンコ店を探訪し写真撮影を行うほか、パチンコ書籍やパチンコ玩具等の蒐集など周辺文化の探究に軸足を置いた活動を行う。パチテレ!「パチンコロックンロールDX」レギュラー出演。パチンコ必勝ガイドにて「栄華の旅がたり」連載中。著著「八画文化会館VOL.7 ~I ♡ PACHINKO HALL パチンコホールが大好き!!~」が好評発売中。 偏愛パチンコバンド「テンゴ」で作詞とボーカルを担当。