特殊な景品を凝視する ~前編~

特殊な景品を凝視する ~前編~

こんにちは、偏愛パチンコライターの栄華です。

このサイトは、栃木県と東京都でパチンコホール「BBステーション」を経営する株式会社大善の「採用サイト」でございます。

 

コツコツ集めた写真や資料を元に、パチンコとその周辺文化にまつわる偏った記事をお届けしておりますが、今回はちょっときわどい場所にある引き出しを開けます。

 

テーマは「特殊景品」です。

 

パチンコ店では皆さんご存知のとおり、遊技で得た玉やメダルを様々な物品と引き替えることができます。「風営法」という法律では引き替える物品のことを「賞品」と表現しますが、本稿では広く親しまれている「景品」という言葉を使いますね。

 

特殊景品は、玉やメダルと交換できる物品のひとつです。パチンコ店に遊びに来た人のほとんどが、ショーケースに並ぶ食品や家電や日用品などではなく、獲得した出玉を特殊景品に交換してホールをあとにします。

 

 

ホールの外に持ち出された特殊景品が、一般的にどのように使用されるか、どのように流通しているか等については、本稿の趣旨と関係が薄いので割愛します。ネット検索すれば色々な情報が出ますので参照してください。

 

今回お届けしたいのは、インターネット史上、特殊景品の写真をもっとも数多く見ることができる記事です。しかもその写真は、他者のツイートやウェブページからの引用ではなく、すべて自ら撮影したものです。

 

パチンコという営みには、特殊景品が付き物です。60年以上無くてはならない存在でありながら、その具体的な「形状」について網羅した資料は見当たりません。デリケートな背景はあるものの、私たちは特殊景品について語ることを必要以上にタブー視してはいないでしょうか。存在してきた歴史や、存在するという事実を無きもののように扱うのは残念なことだと私は思います。

 

なぜなら……

特殊景品って面白いんですもん!

 

私が写真に収めたものはほんのひと握りですが、それでも特殊景品の面白さや豊かさは充分に感じて頂けるはずです。

 

 

プレート(カード)型

現在、パチンコホールで交換できる特殊な景品のほとんどがこのプレート(カード)タイプです。私は日本全国津々浦々のパチンコホールを訪ね「建物」の写真を10年以上撮り歩いている特殊な人間ですが、特殊な景品に関してはよほどの珍品でない限りスルーしてきました。長らくの間、プレート型の景品を手にしても「なんだ味気ない」と一瞥もくれなかったのです。

 

今はそんな自分を張り倒して叱りとばしたいです。なぜなら、しっかり見ればプレート型の景品も「すべて違う顔」をしているからです。

 

 

プレート+金属

金属の種類がよくわからない物もありますが、この後に出てくる分類に収まらないものも含めてここにまとめました。

 

 

都道府県名は、私が景品を手に入れたホールの所在地を表しています。東京のTUC(都内のパチンコ店に景品を卸す業者の団体の事業部門)が取り扱う金地金は全国的にも有名ですね。

 

TUCショップ

 

TUCの景品が東京都内でしか見られないせいか、ほかの地域の特殊景品も道府県ごとにだいたい決まっていると思っておられる方がいますが、そうとは言えません。次の写真をご覧ください。

 

 

プレート+アクセサリー

プレート型でもっとも多いのが、アクセサリーが封入されたものです。

 

さっきの「プレート+金属」と見た目たいして変わらへんやん!

という声が聞こえてきそうですね。いやいや、一応以下のような鑑別ポイントを設けて分類しているのですよ。

 

 ★金属にチェーンを通すための穴があいている

 ★プレートに「ACCESSORY」「PENDANT」「PEN TOP」という文字がある

(「PEN TOP」は「ペンダントトップ」を表す和製英語のようです)

 

さて、お気づきでしょうか。

よく見ると、異なる都道府県でありながら同じ景品が使われている例がありましたね。

 

これです

 

フチの色と、ドラゴンの目にあしらわれた石の色が違いますが、ほぼ一緒です。この2例は、景品の卸業者が同じである可能性が高いと思います。

 

さらには、こういう珍品もあります。

 

 

少し厚みのあるケースのようなものの中に「ゴルフのマーカー」が入っています。マーカーは特殊景品として別にレアなものではありません。珍品たるゆえんは、この部分です。

 

 

「福岡市遊技場」と記されていますね。でも実はこれ、沖縄県のホールで入手したものなんです(離島にある設置40台弱のスロット専門店で、現在は閉店しました)。

 

おそらく、中古の特殊景品を使っておられたのではないかと思われます。

 

こういった例もあるので「特殊景品は地域ごとに決まっている」とは言えません。ただこれらは例外で、基本的に地元のホールに景品を卸しておられる業者さんが多いと思います。

 

また、ついでにこちらもご覧になって、クイズに挑戦してみてください。

 

問題:▼の写真に写っている特殊景品の共通点はなんでしょう?

 

 

わかりましたか? 

正解は「すべて愛知県内で手に入れたプレート型特殊景品」です。

(※他県でも流通している物も含まれています)

 

このように、同一県内でも様々な特殊景品を見ることができるのです。皆さんのマイホールの景品はどんなデザインですか。たまにはいつもと違うお店へ行って、特殊景品を見比べてみてはいかがでしょうか。

 

 

ご当地モノ

「地域ごとに景品が違う」とは言い切れない一方、もちろんご当地モノの景品が多数存在することも確かです。

 

 

現在は日本国中どのホールへ行っても、設置台に大きな違いはありませんので、ご当地景品を求めて旅打ちをしてみるのも楽しそうですね。

 

 

プレート+いろいろ

続いて、プレートの中に封入されている物品のバリエーションをご覧頂きましょう。

 

◆ゴルフのマーカー

 

日常生活であまり目にすることがないゴルフマーカーも、特殊景品では定番のひとつです。ここには「MARKER」という表記のある物をまとめましたが、中にはネックレスと書いてあるのにどう見てもマーカーというトリッキーな物があります。

 

この2つは全く同じに見えますよね。でも埼玉県のプレートには「景品にチェーンをつけてネックレスに」という説明書きがあります。チェーンを通す穴があるようには見えませんが、マーカーとしてもネックレスとしても使える優れモノなのかもしれません。

 

 

◆ペン先

▲どちらも「大」の景品を大きく載せてみました。万年筆のペン先は14金や18金を材料にしているものが多いそうで、材質や細さを変えて価値の違いを出しているようですね。そういえばあの有名な「セーラー万年筆株式会社」が、「STERIA(ステリア)」という名称の景品払い出し機を販売していたことがあるようですが、京都のものはそれと関係がありそうですね。

 

 

◆シャープペンシルの芯

50代以上くらいの方だと「ああ、シャー芯あったね!」と懐かしさを感じるかもしれません。昔は文具店で売っているのと同じシャー芯の現品が特殊景品としてよく使われてましたよね。実は、現品型のシャー芯の特殊景品は今も存在します(後編で紹介します)。そして、上の写真のように、プレートの中に封入されたタイプもあるんです。私が出会ったものは赤のカラー芯ばかりでした。

 

 

◆その他

最後にその他をまとめました。個人的に好きなのは北海道の「RULER CARD」、定規ですね。ちなみに先ほど「ご当地モノ」で紹介した滋賀県の景品も、ひとつは定規(SCALE)でした。カードの中に景品が封入されているのではなく、カードそのものが景品になっている例ですね。これは空想ですが、他にも「カード型手鏡」とか「カード型靴べら」とか「カード型シールはがしヘラ」といった景品がありそうな気がします。

 

また「古銭のレプリカ」はちょっとした珍品ですね。青森県のはプレートに「GOLD ACCESSORY」と表記されており、一朱銀ならぬ「一朱金」が封入されています。古銭を加工したアクセサリーは巷で安定した人気があるようですので、一朱金ペンダントを作ってみるのもオツかもしれません。

 

 

プレート型もよく見ましょう!

ということで今回は、特殊な景品の大半を占める、プレート(カード)型のバリエーションをご覧頂きました。ほとんどの方が、まったく視線を向けることなく小窓に差し入れておられたのではないでしょうか。よく見てみると、あの薄いプレートの中に収まる物品がちゃんと封入されているのですね。

 

冒頭にも述べましたが、私もプレート型の面白さに気付いたのは最近なので、これまで相当数の変わり種を見落としてきたと思います。地元にユニークなプレート型景品があるという方はぜひ教えてください。また、これをきっかけに今後気にかけて頂けると嬉しいです。

 

そしてみなさん。正直なところ、

「なんか想像してたのと違う……」

と思っておられませんか?「プレートばっかりじゃなく、もっと変わった特殊景品を見られると思ってた」と。

 

ごもっともです。出し惜しみをしたわけではないのですが、今どきプレート型ではない景品に出会える機会はそうありませんので、まず前編で身近な特殊景品の楽しみ方をお伝えしました。

 

後編では「えっ、こんなものが?」と驚くような珍品が登場します。

お楽しみに!

 

※写真の無断転載を禁じます。  

 

ライター紹介:栄華

パチンコライター。全国2600ヶ所以上のパチンコ店を探訪し写真撮影を行うほか、パチンコ書籍やパチンコ玩具等の蒐集など周辺文化の探究に軸足を置いた活動を行う。パチテレ!「パチンコロックンロールDX」レギュラー出演。パチンコ必勝ガイドにて「栄華の旅がたり」連載中。著著「八画文化会館VOL.7 ~I ♡ PACHINKO HALL パチンコホールが大好き!!~」が好評発売中。 偏愛パチンコバンド「テンゴ」で作詞とボーカルを担当。